M&Aを失敗させない企業買収先「選定」の実務

田中 大貴

定価(紙 版):2,750円(税込)

発行日:2023/09/04
A5判 / 200頁
ISBN:978-4-502-47161-2

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本の紹介
M&Aにおける買収企業の「選定」に焦点。対象企業は「持ち込まれ型」と「口説き型」の2つがあり、各々について企業要件、買収スタンス、リスト作成などの実務を解説。

目次

はじめに
第1章 M&Aの正しい位置づけ
Ⅰ 知っておいて損はないM&A
1 M&Aは今後も増えていく
2 M&Aにいつ巻き込まれるかわからない
3 M&Aで専門性が高められる
Ⅱ M&Aは経営戦略ありきで経営課題ありき
1 不変的な「ミッション」と可変的な「ビジョン」
2 現状把握なくして経営課題の特定はあり得ない
3 意外と知られていない3C分析の本当の使い方
4 経営課題と経営戦略とM&A
プラスαのM&Aミニレクチャー:
 M&Aにおけるバリューの重要性

第2章 M&A概論
Ⅰ M&Aプロセスにおける各フェーズの連関性
1 M&Aプロセスには一連の流れがある
2 M&Aプロセスは,インプット・プロセス・アウトプットの繰り返し
3 各フェーズの連関性を意識しないと後工程がうまくいかない  
Ⅱ 失敗の原因にされがちなPMI
1 本当に「PMIフェーズがうまくいかないのは,担当者のせい」なのか?
2 M&A戦略フェーズから連関性を意識することがPMIの質を高める
3 子会社ガバナンスはいつから検討するか?
プラスαのM&Aミニレクチャー:
 子会社ガバナンスの基本方針パターン

第3章 のれんの減損とM&A難易度
Ⅰ 対象企業の属性とM&Aの性質
1 国内M&Aと海外M&A
2 同業種M&Aと異業種M&A
3 「異業種」を定義する
4 対象企業の属性によってM&A難易度は異なる
Ⅱ のれんの減損≒M&Aの失敗?
1 「のれんが減損する」とはどういうことか?
2 のれんの減損が現在や未来に与えるインパクト
3 のれんの減損と,その発生要因
Ⅲ のれんの減損が生じやすいM&Aの性質
1 国内M&A vs 海外M&Aと同業種M&A vs 異業種M&A
2 難易度に影響するのはエリアの違いか業種の違いか?
3 「どう買うか?」でも変わるのれんの減損発生確率
プラスαのM&Aミニレクチャー:
 M&Aは結婚と似ている?!

第4章 M&A難易度を決める要素
Ⅰ ディールに起因する難しさ
1 入札案件で時間に余裕がない場合
2 マイノリティ出資から段階取得する場合
3 大手企業からカーブアウトされた事業を買収する場合
Ⅱ 進出エリアに起因する難しさ
1 これまでに未進出の地域の場合
2 これまでに未参入の事業領域の場合
3 対象企業がカントリーリスクの高いエリアにある場合
Ⅲ 対象企業属性に起因する難しさ
1 対象企業が,過去M&Aで規模拡大してきた企業である場合
2 対象企業が,親会社が未上場,あるいは,ファンド傘下になったことがない場合
3 対象企業が複数国で展開しており,現地法人が各国にある場合
Ⅳ 難易度の低いM&Aとめぐり逢う
1 M&A戦略において検討する「実現性」との違い
2 同じ目的を達成できるならば,難易度が低いM&A案件を選ぶ
3 様々なタイプのM&A案件にめぐり逢うためには?  
プラスαのM&Aミニレクチャー:
 自社独自の「傾向と対策」

第5章 選定プロセス―持ち込まれ型
Ⅰ 持ち込まれ型プロセスの全体像
1 「持ち込まれ案件には期待できない」は本当か?
2 事前に企業要件を設定しておく
3 持ち込まれ案件を見極めるための4つの観点
4 企業要件はどのレベルまで伝えるのが無難か?
Ⅱ 単体の魅力
1 「単体の魅力」の評価にはストックとフローを意識する
2 財務基盤の評価
3 収益獲得力の評価
4 「単体の魅力」は,必須の観点ではない
Ⅲ 戦略適合性
1 既存事業の強化につながりそうか?
2 既存事業とのシナジーが創出できそうか?
3 事業ポートフォリオは堅牢化しそうか?
Ⅳ 経済合理性
1 そもそもバリュエーションとは?
2 感度分析がモデルを組む醍醐味
3 条件交渉の内容を数字で考える
4 要望をとおすためには相手を見る
Ⅴ 買収必然性
1 買収ではなく,自力のほうが良い場合
2 他の投資オプションのほうが魅力的な場合
3 時間的な制約は言い訳にならない
プラスαのM&Aミニレクチャー:
 計画策定後3つの鉄則

第6章 選定プロセス―口説き型
Ⅰ 口説き型プロセスの全体像
1 戦略の方向性決め
2 対象企業に求める要件定義
3 ロングリスト作成
4 ショートリスト・コンタクトリスト作成
Ⅱ 戦略の方向性を決める
1 新規ドメインを見出す
2 ドメインを3Cの観点で評価する
3 事業イメージに対する3C分析
Ⅲ 買収目的と買収スタンスで要件を設定する
1 対象企業に求める要件とは?
2 買収目的から要件を考える
3 買収スタンスから要件を考える
Ⅳ ロングリストを作成する
1 対象企業に求める要件はわかりやすく言い換える
2 リストづくりで完璧主義はNG 
3 リストのアップデートを仕組み化する
4 リストづくりで他力を使うのも一案
Ⅴ ショートリスト・コンタクトリストに絞り込む
1 ロングリスト・ショートリスト・コンタクトリスト
2 件数のボリューム感目安
3 やはり完璧主義はNG
プラスαのM&Aミニレクチャー:
 そして,買収提案へ

第7章 選定プロセスの必要性
Ⅰ 持ち込まれ型プロセスと仕掛け型プロセスの併用
1 成功確率と成約確率で,一長一短
2 どちらの選定プロセスを先に構築するか?
3 口説き型プロセスを再現性高く回すには?
Ⅱ 選定プロセスの意義―説明責任
1 企業をとりまくステークホルダー
2 説明責任を果たす
3 M&Aガバナンスへ
Ⅲ 選定プロセスの意義―組織知
1 M&A知見をためる場所として
2 人知から組織知へ
3 プロセス化の価値
あとがき
索  引

著者紹介

田中 大貴(たなか だいき)
[プロフィール]
MAVIS PARTNERS株式会社(メイビスパートナーズ)代表取締役
早稲田大学商学部卒。
マッキンゼー・アンド・カンパニー,ジェネックスパートナーズ,マーバルパートナーズ(現PwCアドバイザリーのDeals Strategy部門),ベイカレント・コンサルティングのM&A Strategy部門長を経て現職。グロービス経営大学院にてファイナンス講師も務める。