カスタマーハラスメント対応の実務―発生メカニズムから組織としての予防・対応まで

西本 良輔 編著
池内 裕美 著
加藤 義樹 著
森上 知美 著

定価(紙 版):4,400円(税込)

発行日:2026/10/13
A5判 / 344頁
ISBN:978-4-502-59361-1

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本の紹介
令和8年10月施行の改正法に対応。カスタマーハラスメント対策を心理、現場、組織、法律の4つの側面から立体的・複合的に捉えた決定版。企業本社、現場の対応がわかる。

目次

第1章  なぜカスハラは起きるのか
     ─社会心理学からみた発生メカニズム
Ⅰ 総論
Ⅱ カスハラとは何か
 1 カスハラの定義と位置づけ
 2 制度上の定義と判断の枠組み
Ⅲ カスハラが社会問題化した背景
Ⅳ カスハラ発生の心理的・社会的メカニズム
 1 クレームの出発点
 2 カスハラを生み出す負のスパイラル
Ⅴ クレームからカスハラに至る心理的プロセス
 1 不満の発生と一次感情
 2 「二次感情」としての怒りへの転化と攻撃性の形成
 3 コミュニケーション過程とカスハラへの発展
Ⅵ 苦情コミュニケーションの基本モデルとコミュニケーション・ギャップ
 1 苦情コミュニケーションの基本モデル
 2 コミュニケーション・ギャップを生じる諸要因と留意点
Ⅶ クレームを訴えやすい人の特性と近年のカスハラ行為者の特徴
 1 クレームを訴えやすい人の特性
 2 カスハラ行為者の類型と典型的な言動および対応の方向性
 3 近年の傾向と留意点
Ⅷ クレーム対応における感情労働と被害者の反応類型
 1 「感情労働」としてのクレーム対応
 2 カスハラ被害を受けやすい従業員の特性
 3 結び

第2章 カスハラ対策と法令
Ⅰ 総論
Ⅱ カスハラ対策法
 1 カスハラをめぐる世の中の動き
 2 カスハラ対策法の意義と全体像
 3 カスハラの定義とその意味
Ⅲ カスハラ指針に基づき求められる対応
 1 カスハラ指針の全体像
 2 事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
 3 相談・苦情に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備
 4 事後の迅速かつ適切な対応
 5 カスハラ対応の実効性を確保するために必要な抑止のための措置
 6 あわせて講ずべき措置
Ⅳ BtoB取引とカスハラ
 1 法令上の位置づけと実例に見るリスク
 2 BtoB取引におけるカスハラの構造的な問題
Ⅴ カスハラ対策を怠った場合のリスク
 1 事実上のリスク
 2 法律上のリスク

第3章 本社における平時の準備
Ⅰ 総論
 1 本章以降の位置づけと用語の確認
 2 読み進めるうえでの留意点
 3 法令を踏まえた本章の意義と構成
Ⅱ 準備の重要性と4つの領域
 1 カスハラ対策における準備の重要性
 2 4つの領域における準備事項
Ⅲ ポリシー:理念に基づくカスハラ基本方針
 1 ゼロトレランス(不寛容)
 2 カスハラ基本方針に盛り込む要素
 3 周知・啓発による方針の実効化
 4 カスハラ基本方針を具現化する三位一体
Ⅳ システム:カスハラ対策の仕組み化
 1 カスハラ規程の整備
 2 カスハラマニュアルの策定
 3 初動手順の確立
 4 組織内エスカレーションフローの確立
 5 よくある質問集(FAQ)の整備
 6 書式集の整備
 7 外部専門家との連携
 8 モニタリングと監査の実施
 9 契約書や利用規約の整備
Ⅴ ソフト:カスハラ研修と被害従業員ケア
 1 従業員に対する研修
 2 被害従業員の相談とケアの体制
Ⅵ ハード:カスハラ対策のツールと設備
 1 実店舗その他施設内
 2 訪問業務
 3 コールセンターその他バックオフィス
 4 オンライン環境(SNS・メール)
 5 乗り物の中
 6 ハード運用における継続的責務

第4章 現場における平時の準備と有事の対応
Ⅰ 総論
Ⅱ 未然防止策の考え方
 1 顧客に対する要請や働きかけの限界
 2 現場がとり得るアプローチ
Ⅲ 未然防止策の実践
 1 カスハラに至る心理的プロセスを踏まえた対応
 2 カスハラを発生しやすくする条件の排除
Ⅳ 初動
 1 初動の位置づけ
 2 初動の重要性
 3 初動1:顧客の申出内容を整理する
 4 初動2:記録(顧客対応メモ)を作成する
 5 初動3:現場内で情報を共有し,必要に応じて上席者に交代する
Ⅴ カスハラ対応
 1 カスハラ該当性の検討と対応方針の検討
 2 カスハラ該当性の判断とカスハラ対応への切替え
 3 暴力行為を伴わないカスハラへの対応
Ⅵ カスハラ対応のゴール

第5章 本社における有事の対応
Ⅰ 総論
Ⅱ 本社の介入ととるべきアクション
 1 本社介入の意義と効果
 2 介入後に実行する本社の4アクション
Ⅲ 調査の重要性と具体的手順
 1 調査の目的
 2 調査以降のプロセスとその妥当性
 3 客観資料の先行確認
 4 被害従業員ヒアリング
Ⅳ 事実認定と評価および判断
 1 何が起きたかの事実認定
 2 カスハラ該当性の評価と判断
 3 判断結果の文書化
Ⅴ 是正措置までの適切なステップ
 1 是正措置の目的
 2 是正措置の段階モデル
Ⅵ 外部専門家(警察や弁護士)の戦略的活用
 1 警察相談の準備と価値
 2 弁護士関与による組織対応への切替えと現場の負担軽減
Ⅶ 被害従業員の保護とケア
 1 相談窓口の有事における役割
 2 3層構造による万全のケア
 3 物理的安全確保の即時実施(第1層)
 4 心理的・精神的ケア(第2層)
 5 セカンドハラスメントの徹底防止(第3層)
Ⅷ 再発防止と平時への還流
 1 事後レビューの実施
 2 全社でのケーススタディ共有
Ⅸ 確認用チェックリスト

第6章 行為者のタイプや事例を踏まえた対応方法
Ⅰ 総論
Ⅱ カスハラ行為者やその予備軍のタイプ
 1 タイプ別分類
 2 純粋型
 3 理屈型1:理論型
 4 理屈型2:世直し型
 5 理屈型3:権力型
 6 感情型1:シアター型
 7 感情型2:自己都合型
 8 感情型3:激情型
 9 感情型4:不安定型
Ⅲ カスハラ該当性の検討未了段階における典型事例への対処
 1 典型事例を習得して対処することの合理性
 2 「誠意を見せろ」「謝罪で済むと思っているのか」「責任を取れ」と言われた
 3 「SNSで拡散してやる」「口コミで低評価をつけてやる」「出るところに出る」と言われた
 4 勝手に写真や動画を撮られて,SNSに投稿された
 5 「前はやってくれたのに,なぜ今回はだめなのか」「他の店ならやってくれる」と言われた
 6 「〇〇を出せ」と言われた
 7 「言った・言わない問題」が起きた
 8 自宅などを訪問して謝罪をするよう求められた
 9 顧客本人以外の人物が顧客の「代理人」として接触してきた

著者紹介

西本 良輔(にしもと りょうすけ)
[プロフィール]
弁護士法人森・濱田松本法律事務所大阪オフィスパートナー弁護士。京都大学法学部卒業,平成19年弁護士登録,平成27-28年公正取引委員会事務総局審査局,平成29-30年住友ゴム工業株式会社法務部。主な取扱分野は,労働法のほか,危機管理・競争法・訴訟など。

[主な著作]
『労務管理のエキスパートガイドー事例でみる職場環境における配慮と問題行動への対処―』(共著,令和5年,新日本法規出版)
『Q&A越境ワークの法務・労務・税務ガイドブック』(共著,令和5年,日本法令)「The Employment Law Review 14th Edition-Japan Chapter」(共著,令和5年,Law Business Research Ltd)

池内 裕美(いけうち ひろみ)

加藤 義樹(かとう よしき)

森上 知美(もりかみ ともみ)