- 本の紹介
- 流通の環境変化を捉え、新たな理論体系を構築するシリーズの第1巻。総合量販店、百貨店からネット小売などまで代表的業態の生成過程に着目し、誕生から社会に定着し発展していく機制を解明。
目次
シリーズ流通体系<1>
小売業の業態革新
目次
第1章 わが国小売流通世界におけるパラダイム変化
1 本章の課題
2 ダイエーの勃興
(1) ダイエーの創業
(2) 三宮への2号店・3号店の出店 ……ほか
3 業態としての定着と成長
(1) 1960年代の急成長
(2) その帰結 ……ほか
4 セブン-イレブン
(1) コンビニが作り上げた流通の価値
(2) 商品回転率の改善 ……ほか
5 おわりに
第2章 商業集積
1 商業集積研究の射程
(1) 商業集積を考える意義
(2) 都市空間と商業集積の階層構造 ……ほか
2 商業集積の歴史的次元
(1) 資本主義の発展と商業集積の形成
(2) 都市への人口集中 ……ほか
3 巨大商業都市東京の形成
(1) 江戸の建設時代(1603-1650)
(2) プロト郊外化時代(1650-1868) ……ほか
第3章 総合量販店の革新性とその変容
1 はじめに
2 総合量販店の革新性とその成立
(1) 創業者たちにとってのアメリカ
(2) セルフサービス方式の登場 ……ほか
3 革新性の喪失
(1) 専門量販店の成長
(2) 総合量販店の脆弱性
4 おわりに:永遠の単品屋としての総合量販店
第4章 食品スーパーの革新性
―製造業的事業システムとその革新プロセス
1 はじめに
2 食品スーパーとは何か
(1) スーパーマーケットの系譜
(2) 生鮮食品の特性
3 関西スーパーの事業の仕組み
(1) 鮮度管理システム
(2) 省力化システム
4 同業他社へのノウハウ公開
5 ノウハウ公開の効果
(1) ノウハウ公開によって生じたこと
(2) ノウハウ公開の生み出した革新誘発力 ……ほか
6 おわりに
第5章 百貨店の革新性とその変容
―高級化の進行と効率の追求
1 日本における百貨店の成立
2 高度成長期における百貨店の成長
(1) 百貨店の量的拡大
(2) 衣料品部門の拡充 ……ほか
3 百貨店における高級化競争の進展
(1) 商品の高級化と特選部門の発展
(2) ギフト市場の拡大と家庭用品売場 ……ほか
4 百貨店の変容
(1) 高級化競争の帰結
(2) 百貨店の発展とその変容
第6章 ショッピングセンターの革新性とその変容
1 SCビジネスモデルの特徴
2 SCの発展史
(1) SC生成の時代背景
(2) SC発展の流れ
3 数値で見るSCの変遷と現状
(1) 小売業におけるSCの位置
(2) SCの現況と推移
4 SCを取り巻く環境変化:法的規制と緩和
(1) 「大規模小売店舗法」から「大規模小売店舗立地法」へ
(2) 定期借家制度の施行 ……ほか
5 SC事業スキームの変化
(1) キャッシュフロー重視の経営への転換
(2) 所有と経営の分離 ……ほか
6 DVとテナントの関係変化
(1) DV・テナント間に横たわる諸問題
(2) 契約関係の見直し
7 SCマネジメントの新たな動き
(1) プロパティマネジメントへ
(2) SCにおけるCSRの取組 ……ほか
第7章 コンビニエンスストアの革新性
―セブン-イレブンの事業システムを通して
1 はじめに
2 コンビニの事業システム
(1) 店舗フォーマット
(2) 出店方式 ……ほか
3 セブン‐イレブンの競争優位
(1) ロイヤリティ
(2) 店舗レベルでの単品管理 ……ほか
4 おわりに
第8章 専門量販店の革新性とその変容
―ドラッグストア業態に焦点を当てて
1 はじめに
2 ドラッグストア業態の発展とその革新性
(1) 日本におけるドラッグストア業態の成立
(2) ドラッグストア業態の革新性 ……ほか
3 マツモトキヨシのビジネスモデルとその定着
(1) 店舗イメージ戦略
(2) 物流革新 ……ほか
4 おわりに
第9章 ネット型小売の革新性とその変容
―楽天市場の変遷を通して
1 はじめに
2 インターネットおよびネット型小売
(1) インターネットの概況
(2) ネット型小売の概況
3 先行研究
(1) ナビゲーション機能
(2) ロングテール現象 ……ほか
4 楽天市場事例研究
(1) 楽天市場概要
(2) 楽天市場の契機 ……ほか
5 ネット型小売業態の「創発的ナビゲーション機能」
(1) 楽天市場の革新性とその変容
(2) ネット型小売業態の成立との関係
6 おわりに
第10章 製造卸による小売業展開における競争構造の変化
―SPAの源流
1 はじめに
2 ワールドのSPAへの途
(1) SPA前史
(2) SPA準備期・萌芽期 ……ほか
3 競争構造の変化
4 ワールドによるSPAの展開特徴と課題
第11章 小売業態研究の理論的新地平を求めて
1 はじめに
2 流通革命論の系譜
(1) 林 周二の「流通革命」論
(2) 佐藤 肇の流通革命論
3 矢作敏行の「業態」概念
(1) 総合スーパーの誕生
(2) 流通革命の条件:COと小売業態革新 ……ほか
4 小売業態概念の理論的理解に向けて
(1) 商人による売買集中とそれに限界を与える要因について
(2) 業種と業態:業種の定義 ……ほか
5 おわりに:小売業態研究の理論的新地平
索 引
著者プロフィール
■編著者紹介
石井 淳蔵(いしい じゅんぞう)
流通科学大学学長,神戸大学名誉教授,商学博士(神戸大学)
1947年生まれ。
1975年神戸大学大学院経営学研究科博士課程単位取得満期退学。
同志社大学商学部教授,神戸大学大学院経営学研究科教授などを経て,2008年より現職。
日本商業学会会長などを歴任。
専門は,マーケティング論,流通システム論。
主要著書
『マーケティングの神話』日本経済新聞社,1993年
『商人家族と市場社会』有斐閣,1996年
『ブランド 価値の創造』岩波新書,1999年
向山 雅夫(むこやま まさお)
流通科学大学商学部教授,博士(商学)(神戸大学)
1955年生まれ。
1985年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。
武蔵大学経済学部専任講師を経て,1995年より現職。
日本商業学会副会長(現任)。
専門は,流通システム論,マーケティング論。
主要著書
『ピュア・グローバルへの着地』千倉書房,1996年
『21世紀中小企業論』(共著)有斐閣,2001年
『ベーシック 流通と商業』(共著)有斐閣,2002年