金融サービスのイノベーションと倫理―金融業の規律ある競争

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早稲田大学大学院ファイナンス研究科
首藤 惠 編著

定価(紙 版):3,300円(税込)

発行日:2011/03/28
A5判 / 288頁
ISBN:978-4-502-68410-4

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本の紹介
金融イノベーションが金融業の行動にもたらす倫理的問題について理論的整理と現状分析を行うとともに、5つの不祥事を取りあげ、自己規律、市場規律、外部規制のあり方を検討。

目次


金融サービスのイノベーションと倫理
■金融業の規律ある競争
目次

第Ⅰ部 総  論
 第1章 金融サービス業のガバナンスと職業倫理
  1 はじめに
  2 金融の経済機能と倫理:金融にはなぜ倫理が必要か
   2.1 金融サービス業の特性
   2.2 金融取引における倫理的ディレンマ ……ほか
  3 金融サービス業の職業倫理
   3.1 金融取引と信認(trust)
   3.2 倫理と効率 ……ほか
  4 金融サービス業のガバナンスと職業倫理
   4.1 内部ガバナンスと外部ガバナンス
   4.2 自己規律と外部規律 ……ほか
  5 金融の倫理と市場規律
   5.1 ファイナンシャル・ゲートキーパーと市場への信頼
   5.2 コーポレート・コントロール市場と投資銀行 ……ほか
  6 結び:市場メカニズムと職業倫理

 第2章 金融イ ノベーションと日本の金融機関の不祥事
  1 はじめに
  2 金融イノベーションと不祥事を考える
  3 不祥事を捉えるフレームワーク
  4 世界的な金融機能不全の原因
   4.1 欧米金融機関のリスク管理
   4.2 欧米投資銀行におけるこれまでの利益相反の管理
    ……ほか
  5 リスクマネジメントと不祥事回避
   5.1 彼我の相違:日本独特の問題
   5.2 永遠の課題:営業現場への考察 ……ほか
  6 結び:日本の最大の課題は「経営の進化」

 第3章 グローバル金融危機と金融制度改革の方向
  1 はじめに
  2 グローバル金融危機の背景
   2.1 金融イノベーションとリスクの蓄積
   2.2 レバレッジによるリスク・テイク ……ほか
  3 グローバル金融危機の教訓と新たな課題の認識
   3.1 ミクロ・プルーデンスとマクロ・プルーデンスの強化
   3.2 トゥー・ビッグ・トゥ・フェイルの課題 ……ほか
  4 グローバルな金融制度改革の方向性
  5 結  び

 第4章 金融機関の内部統制-自律的リスク管理―
  1 金融機関における内部統制の特徴
  2 金融規制と内部統制
  3 金融機関における内部統制報告制度への対応
   3.1 全社的な内部統制の評価項目
   3.2 重要な事業拠点の選定 ……ほか
  4 金融危機と内部統制
  5 金融機関における新たなリスク管理と内部統制

 第5章 投資銀行におけるガバナンスと職業倫理
       -M&Aアドバイザリービジネスについて―
  1 はじめに
  2 アドバイザー就任の可否に関する利益相反チェックの問題
   2.1 アドバイザーとしての利益相反とは
   2.2 利益相反の事前チェックシステム ……ほか
  3 アドバイザリー契約の内容に関する問題
   3.1 成功報酬
   3.2 補償条項(Indemnification)とその例外規定 ……ほか
  4 結  び

 第6章 金融仲介機関のリスク管理とガバナンス
       -リスク選好度を基軸とした統合的リスク管理―
  1 金融機関におけるリスク管理の概要
   1.1 リスクの種類と管理手法
   1.2 自己資本を基軸とする統合(的)リスク管理
  2 金融危機におけるリスク管理に対する反省とリスク選好度の
     着目
   2.1 リスク管理部門が重視されなかったこと
   2.2 リスク選好度の定義 ……ほか
  3 リスク選好度を基軸とした統合的リスク管理
   3.1 リスク選好度のプロセス
   3.2 結び:バーゼルⅡ/第2の柱の再評価

 第7章 証券会社の職業倫理と行動規範
  1 倫理を意識する背景
  2 わが国証券業務や業態の多様化: 3 つの特徴と求められる
    倫理
   2.1 ビジネス・モデルの多様化
   2.2 リテール業務における資産管理型ビジネスの推進 ……ほか
  3 倫理的行動を担保する外部規律の日米比較:法令・規則と自主
    規制
   3.1 米国:サーベンス・オクスリー法が求める倫理
   3.2 米国:SEC 規則と取引所規則等による倫理コードの導入要請
    ……ほか
  4 証券業者の自己規律:日米証券業者の倫理コード・行動規範
   4.1 IOSCO のフレームワーク
   4.2 米国の証券業者が保有する倫理コード・行動規範 ……ほか
  5 結び:倫理的行為に伴う困難さ

 第8章 格付会社のガバナンスと職業倫理
  1 はじめに
  2 格付会社を巡るビジネス環境
   2.1 寡占的な格付市場
   2.2 発行者支払いモデルと証券化商品の格付プロセス
  3 格付モデルのエラー
   3.1 モデルの前提条件
   3.2 デュー・デリジェンス
  4 SEC による検査の結果
   4.1 SEC登録と検査の実施
   4.2 SEC検査の指摘事項
  5 結  び

 第9章 会計プロフェッションの職業倫理と行動規範
  1 会計プロフェッションの意義と社会的役割
   1.1 会計プロフェッションの意義 ……ほか
  2 会計プロフェッションの中核的業務である監査業務の特質
   2.1 財務諸表監査におけるサービスの受益者と対価の負担者 
   ……ほか
  3 会計プロフェッションのレピュテーション・リスク
  4 会計プロフェッションの職業倫理の性質
   4.1 行動規範と独立性 ……ほか
  5 国際会計士連盟の行動規範:IFAC 倫理規程
   5.1 IFAC におけるIFAC 倫理規程の位置づけ ……ほか
  6 わが国の会計プロフェッション・公認会計士の職業倫理と
    行動規範
   6.1 制度としての職業倫理:行動規範 ……ほか
  7 会計プロフェッションに対する公的規制の国際的動向
   7.1 米国における公的規制 ……ほか
  8 わが国の会計プロフェッション・公認会計士の職業倫理に関する
    課題
   8.1 自主規制による倫理規則違反処分をめぐる課題 ……ほか

第Ⅱ部 金融不祥事のケース・スタディー
 第10章 内部統制に関する経営者の責任
  1 概  要
  2 背  景
  3 大和銀行事件と内部統制問題
   3.1 事件の概要
   3.2 裁判の争点と判決内容 ……ほか
  4 金融検査マニュアルと内部統制問題
   4.1 大和銀行事件後の国際的動向
   4.2 金融検査マニュアルと内部統制問題 ……ほか
  5 金融機関における内部統制問題の意義
  6 設  問

 第11章 MBOにおける経営者の利益相反
  1 概  要
  2 問題の背景
  3 問題が生じた経緯
   3.1 トーカロのMBO前後の経緯
   3.2 ワールドのMBO前後の経緯 ……ほか
  4 その後の展開
  5 設  問

 第12章 デリバティブ取引における証券会社の責任
        ―プロ投資家に生じた損害に対して―
  1 概  要
  2 問題の背景
   2.1 運用環境の低迷とデリバティブ関連金融商品の利用
   2.2 法令・会計制度等の制度状況
  3 本ケースの内容
   3.1 経緯と商品の概要
   3.2 判決要旨
  4 論  点
   4.1 プロの投資家に対しても説明義務はあるのか
   4.2 投資家である顧客企業の内部ガバナンスの問題
  5 設  問

 第13章 証券グループにおける情報開示と倫理的問題
  1 はじめに
  2 日興CG による一連の行為
   2.1 日興CGグループの概要とPI業務
   2.2 PI業務に関連する一連の行為
  3 監査委員会の疑問と日興CG経営陣の説明
   3.1 VC条項を用いたNPIH の非連結に関して
   3.2 EB債に関して ……ほか
  4 証券取引等監視委員会による告発と日興CG 経営陣の対応
   4.1 EB債の発行日改ざんに関する勧告
   4.2 日興CG臨時経営委員会の対応 ……ほか
  5 設  問

 第14章 公認会計士のインサイダー取引事例
  1 概  要
  2 問題の背景
   2.1 わが国における公認会計士業界の成長,監査法人の規模の
      拡大
   2.2 市場・経済環境,社会的条件および制度的環境 ……ほか
  3 問題が生じた経緯・対応
   3.1 経緯・問題の所在
   3.2 社会や当局の対応 ……ほか
  4 設  問

 索  引


著者プロフィール <編者紹介>
早稲田大学大学院ファイナンス研究科

<編著者紹介>
首藤惠





















著者紹介

早稲田大学大学院ファイナンス研究科(わせだだいがくだいがくいんふぁいなんすけんきゅうか)

首藤 惠(すとう めぐみ)