地域経営のための「新」ファイナンス―「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」のインパクト
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- ソーシャルファイナンスは、地方にとって単なる資金調達だけではなく、経営の視点を持ち込む手段となる。全国の事例と地域活性効果、有効な地方創生政策への示唆を提示する。
目次
地域経営のための「新」ファイナンス
―「ふるさと納税」と「クラウドファンディング」のインパクト
目次
はじめに
第1章 今こそ地域に経営視点を
~サステナブルな社会を目指して~
1 地域は「運営」するものから,「経営」するものへ
2 地方創生はなぜ難しいのか
3 これまで限られてきた地域でのリスク性資金
4 新たな代替的資金調達手段(ソーシャルファイナンス)の登場
第2章 購入型クラウドファンディングと中小企業,地方企業
~可能性と課題~
1 高まるクラウドファンディングへの期待とその現状
2 購入型クラウドファンディングで
これまでにわかっていること:先行研究から見えたこと
3 購入型クラウドファンディングは中小企業,地方企業を
利するのか
4 購入型クラウドファンディングにおける海外案件と
大企業案件の影響と中小企業,地方企業および地方創生,
地域活性化への考察
第3章 購入型クラウドファンディングと地域金融
~地域金融機関の購入型CFの役割に関する認識と実施体制~
1 地域金融機関と購入型CFの関係性
2 クラウドファンディングと地域金融についてのこれまでの議論:
先行研究を中心に
3 購入型クラウドファンディングに対する地域金融の認識と
取り組み体制:アンケート調査結果
4 購入型クラウドファンディングと地域金融機関の
コラボレーションによる地域活性化の可能性
第4章 地域課題解決におけるソーシャルファイナンスの役割
~日本版シビッククラウドファンディングの動向~
1 自治体主導型から市民参加型へ
2 クラウドファンディングとふるさと納税の線引き,使い分け
3 シビッククラウドファンディングについて
4 ふるさと納税による日本版CCFの動向
5 日本版CCFでの民間企業との協業状況
6 日本版CCFのまちづくりへの効果
7 日本版CCFの潜在的な課題
8 通常のCFプラットフォームを通じた日本版CCF
9 まとめ:
日本版CCFの更なる発展に向けて
第5章 デジタルトークン・地域通貨の可能性と課題
~飛騨信用組合による「さるぼぼコイン」を事例に~
1 なぜ今デジタルトークン・地域通貨なのか
2 これまでの日本の地域通貨の歴史:
先行研究から見えたこと
3 電子地域通貨の利用者属性と加盟店での決済状況の分析
4 「さるぼぼコイン」利用の実態
5 まとめ
第6章 ふるさと納税の概要とそれが自治体運営に
迫っていること
~自治体運営におけるパラダイムシフト:経営視点の導入~
1 ふるさと納税の概要
2 自治体運営におけるパラダイムシフト:
運営から経営への切り替え
3 ふるさと納税が制度的に内包する課題:
全体最適と部分最適
4 ふるさと納税をめぐる様々な議論
第7章 地域事業者育成支援効果,ビジネス力向上策
~ふるさと納税の返礼品提供事業者の事例~
1 従来の助成金や補助金による中小企業政策
2 ふるさと納税の構造的特徴:
中小企業支援の観点から
3 返礼品提供を通じた事業者の経営力向上の事例
4 官民連携が地域での創業・起業成功の鍵
5 地域事業者育成支援の課題
第8章 地域アントレプレナーシップの創出に向けて
~ ふるさと納税の返礼品提供事業者のデータ分析とアンケート
調査から~
1 ふるさと納税の返礼品提供事業者の実態把握の必要性
2 返礼品提供事業者の属性と経営力向上に関しての
アンケート調査手法
3 返礼品提供事業者の属性
4 返礼品提供事業者の経営力向上に関してのアンケート
調査結果
5 アンケート調査からの地域アントレプレナーシップ創出
への示唆と課題
第9章 地方における移住・定住政策と関係人口増加策
~ふるさと納税を契機とする各種政策からの示唆~
1 全国的な人口減少社会で重要なのは人のシェアリング
2 ふるさと納税をきっかけとした関係人口,交流人口の創出
3 移住定住策の拡充をどう考えるべきか
4 北海道上士幌町の人口動態分析
5 地方における移住定住政策と関係人口増加策について
の政策示唆
第10章 ふるさと納税を契機とした地域金融機関の機能強化
の可能性
~地域金融機関の融資状況と地域での産官金連携への状況~
1 産官金連携による地方創生の可能性
2 ふるさと納税の返礼品を契機とする産官学金連携事例
3 ふるさと納税を契機とする産官学金連携に関しての地域
金融機関へのアンケート調査
4 今回の分析からの政策的示唆
第11章 今後目指すべき地域経営の姿とは
1 今後の地域にとっての課題
2 今後の地域にとっての可能性
3 産官学金のベストプラクティスの地道な積み上げ
4 ソーシャルビジネスの素地の形成を
著者プロフィール
【著者紹介】
保田 隆明(ほうだ・たかあき)
神戸大学大学院経営学研究科教授
同研究科事業創造&地方創生センター長
大手外資系投資銀行を経て起業。同事業売却後,ベンチャーキャピタルファンド,金融庁金融研究センター,小樽商科大学准教授等を経て,2015年9月から現職。
主な著書『ふるさと納税の理論と実践』『コーポレートファイナンス戦略と実践』,論文「購入型クラウドファンディングの役割に関する地域金融機関の認識と実施体制」「電子地域通貨の利用者と加盟店の利活用に関する研究」「ふるさと納税の地域アントレプレナーシップへの示唆」など多数。なお,2019年8月より2021年3月まではスタンフォード大学客員研究員として米国シリコンバレーに在住し,SDGs/ESGに向けた社会変革,企業変革について主にソーシャルファイナンスを中心に研究した。一橋大学経済学研究科客員研究員も兼任し,数社の社外取締役や監査役を兼務。博士(商学)早稲田大学。