- 本の紹介
- 戦時下に膨れ上がる軍需産業と不足する民需物資。対応すべく日本が行った経済統制は小売業と国民生活にどのように影響したのか。膨大な資料を調べあげ、実像に迫った労作。(発行=碩学舎)
目次
はしがき
序 章 本書の問題意識と課題の限定
1 戦時体制と経済統制
2 対象時期の限定
3 本書の構成
第1章 戦時体制の確立
1 国民精神総動員運動と大政翼賛会
1-1 国民精神総動員運動の展開
1-1-1 国民精神総動員運動の開始
1-1-2 国民精神総動員中央連盟
1-2 国家が国民に求めたもの
1-2-1 国民生活の規律の確立
1-2-2 国民に求める生活様式
1-2-3 学校教育における規律の確立
1-3 新体制運動と大政翼賛会
1-3-1 新体制運動
1-3-2 基本国策要綱と経済新体制確立要綱
2 統治機構に組み込まれた町内会・隣組制度
2-1 町内会・隣組の組織化
2-1-1 町内会・隣組と部落会・隣保班
2-1-2 町内会・隣組の再評価
2-1-3 町内会の上からの組織化
2-2 日常生活必需品の配給と町内会・隣組
2-2-1 末端配給機関としての町内会・隣組
2-2-2 町内会に対する生活部・消費経済部構想
2-2-3 買物行列と町内会
2-3 国策遂行および生活共同組織としての町内会・隣組
2-3-1 国策遂行機関としての町内会・隣組
2-3-2 都市部での町内会・隣組
2-3-3 国防の担い手としての町内会・隣組
第2章 物資統制
1 物資動員計画の概要
1-1 物資統制の始まり
1-1-1 重要物資の統制態勢の整備
1-1-2 初期の重要物資統制の破綻
1-2 初期物資動員計画と輸出入リンク制
1-2-1 初期物資動員計画と輸出入の減退
1-2-2 物資動員計画の改訂
1-2-3 輸出入リンク制の導入
1-3 本格的な物資動員計画の作成
1-3-1 応急的物資動員計画から本格的物資動員計画へ
1-3-2 欧米依存からの脱却
1-4 太平洋戦争下の物資動員計画
1-4-1 経済的孤立下での物資動員計画
1-4-2 戦争末期における物資動員計画の破綻
2 廃品回収と金属類回収
2-1 資源問題の始まり
2-1-1 非常時経済への協力
2-1-2 廃品の再生
2-2 金属類回収令
2-2-1 資源の回収
2-2-2 金属類回収令
2-3 金属類回収令の改正
2-3-1 金属類回収の加速化
2-3-2 金属類回収令の改正
3 戦時物資統制と代用品
3-1 国産品愛用運動から国産代用品愛用運動へ
3-1-1 国産振興と国産品愛用運動
3-1-2 国産品愛用から国産代用品愛用へ
3-2 代用品工業の振興
3-2-1 一般物資の使用制限
3-2-2 代用品工業の振興
3-2-3 代用品の浸透
3-3 代用品工業の性格転換
3-3-1 日用戦時物資としての代用品
3-3-2 代用品資源の枯渇
4 物資統制令と切符制度―衣料切符制度を中心として―
4-1 物資統制令
4-1-1 物資統制の始まり
4-1-2 物資統制令
4-2 消費切符制の意義
4-2-1 消費切符制の必然性
4-2-2 消費切符と点数制
4-3 衣料品の総合切符制
4-3-1 総合衣料切符制の導入
4-3-2 衣料切符の点数制
4-3-3 衣料切符の運用実態
4-4 戦争末期の衣料政策
第3章 価格統制
1 戦時経済下における物価問題
1-1 戦時経済下における価格統制の必然性
1-2 準戦時体制と戦時体制
1-3 初期の間接的物価対策
2 直接的価格統制の展開
2-1 価格統制への序曲
2-1-1 暴利取締の始まり
2-1-2 暴利取締令の改正
2-2 直接的価格統制の始まり
2-2-1 国家総動員法と消費節約
2-2-2 物資動員計画と物価委員会答申
2-2-3 物品販売価格取締規則
2-2-4 初期の繊維製品価格統制
2-2-5 経済警察:統制と統制破り
3 市場価格の全面的停止
3-1 「物価統制ノ大綱」の決定
3-2 日本学術振興会の提言
3-3 価格停止とその帰結
3-3-1 価格等統制令による停止価格
3-3-2 低物価政策と生産力増強の間
3-3-3 暴利行為等取締規則と奢侈品等製造販売制限規則
3-3-4 低価格と生産力拡大の矛盾の拡大
4 経済的孤立化の中での物価対策
4-1 混迷する物価対策
4-1-1 物価統制大綱の見直し
4-1-2 緊急物価対策要綱と価格報奨制度
4-2 公定価格の困難
4-2-1 公定価格と商品規格
4-2-2 鮮魚介類の公定価格
4-3 戦争末期における物価対策の破綻
第4章 小売業整備
1 戦時経済体制に伴う転・失業問題の発生
1-1 経済統制と失業問題
1-2 商業報国運動の台頭
2 小売業における転廃業の積極的推進
2-1 時代背景:1940年という年
2-1-1 新体制運動
2-1-2 国民生活への影響:粗悪品の氾濫
2-2 転廃業政策の始まり:「中小商工業者に対する対策」
2-2-1 商業部門における労働力の過剰
2-2-2 転業への積極的姿勢
2-2-3 転業推進に対する不安
2-3 配給機構の整備
2-3-1 生活必需品配給機構整備要綱と配給機構整備要綱
2-3-2 松井辰之助の評価
2-4 遅々として進まない小売業者の統廃合
2-4-1 進まない小売業整備
2-4-2 名古屋市における小売業整備
2-4-3 労務供給問題の逼迫
3 「企業整備」という名の強制的整理
3-1 小売業の整備要綱
3-1-1 小売業整備要綱への途
3-1-2 小売業整備要綱⑴ 小売業整備の目的
3-1-3 小売業整備要綱⑵ 個人企業態の存置
3-1-4 小売業整備要綱⑶ 企業整備の方法
3-2 転廃業者への経済的支援
3-2-1 国民更生金庫の設立
3-2-2 小売業の資産評価基準
3-2-3 共助金
3-3 小売業整備の実態
3-3-1 企業整備の実務手順
3-3-2 商工委員会調査答申書
3-3-3 第一次小売業整備地区
3-3-4 東京府の場合
3-3-5 大阪府・市における整備状況
3-3-6 その他の都市における整備状況
3-3-7 抜取整理の問題点
3-3-8 転業者の生活
3-3-9 残存業者の実態
4 第二次小売業整備による商業の死滅
4-1 第二次小売業整備に向けての助走
4-2 戦力増強企業整備要綱と第二次小売業整備
終 章 簡単な総括
1 戦争への途
2 本書の簡単な要約
3 結びに代えて
- 担当編集者コメント
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