- 本の紹介
- 在庫管理は発注や補充量決定等の購買部門の業務と捉えられ全社的視点が欠けがち。決算書から在庫の現品に遡る視点を取り入れ、在庫の連鎖と各部署の業務を関連づけて解説する。
目次
すらすら在庫管理
目次
第1章 在庫管理に必要なアプローチ
1 在庫管理とは
❶ 共有されていない在庫の解釈
❷ 在庫の定義と分類
❸ 2つの目的から在庫管理を定義する ……ほか
2 在庫管理に必要な取組み
❶ なぜ今までの在庫管理は失敗したのか
❷ 在庫を通じて連鎖しているもの
❸ 在庫管理に必要な経営者の視点
第2章 全社的な視点とリスク・フォーカス
1 全社的な視点を得る方法
❶ 在庫管理の対象を明確にする「管理レベルのピラミッド」
❷ 金額情報には品質が反映されないという誤解
❸ 金額情報しか取り扱わないという誤解
2 金額情報から在庫の現品への遡り方
❶ 決算書からブレークダウンする専門家
❷ 在庫の動きはどのように決算書に反映されるか
❸ 「製品」科目から業務プロセスに至るブレークダウン ……ほか
3 リスク・フォーカスするための思考法
❶ 「モ・ダ・マの観点」を活用する
❷ 業務プロセスでエラーが生じやすい局面
❸ 説明にあたっての想定モデル
第3章 在庫を受け入れる業務プロセス
1 金額情報としての在庫の受入れ
❶ 決算書における仕入の記載
❷ 在庫を受け入れる業務プロセスの概要
2 発注におけるリスク・フォーカス
❶ 発注の業務フローを理解する
❷ 発注における情報の転換点をみつける
❸ 原材料の不足から購入依頼書への転換に対応する ……ほか
3 発注方式
❶ 発注にあたって考慮すべき事項
❷ 定量発注方式とは
❸ 発注点の設定の仕方 ……ほか
4 入荷におけるリスク・フォーカス
❶ 入荷の業務フローを理解する
❷ 入荷における情報の転換点をみつける
❸ 納品の実態から検収済み納品書への転換に対応する
……ほか
第4章 在庫を製造する業務プロセス
1 金額情報としての在庫の製造
❶ 決算書における仕掛品の記載
❷ 在庫を製造する業務プロセスの概要
2 出庫におけるリスク・フォーカス
❶ 出庫の業務フローを理解する
❷ 出庫における情報の転換点をみつける
❸ 製造指図書から出庫請求票への転換に対応する ……ほか
3 製造におけるリスク・フォーカス
❶ 製造の概要
❷ 製造の業務フローを理解する
❸ 製造における情報の転換点をみつける ……ほか
4 材料費に関する管理手法
❶ 作業能率の管理に役立つ標準原価計算
❷ 標準原価の設定の仕方
❸ 標準直接材料費を算定する方法 ……ほか
第5章 在庫を払い出す業務プロセス
1 金額情報としての在庫の払出し
❶ 在庫を払い出す業務は決算書に結びつかない
❷ 売上原価に係る決算書の記載
❸ 在庫を払い出す業務プロセスの概要
2 受注におけるリスク・フォーカス
❶ 受注の業務フローを理解する
❷ 受注における情報の転換点をみつける
❸ 注文書から受注票への転換に対応する ……ほか
3 出荷におけるリスク・フォーカス
❶ 出荷の業務フローを理解する
❷ 出荷における情報の転換点をみつける
❸ ピッキングの実態から出荷伝票への転換に対応する ……ほか
4 取扱製品の絞込みに用いる法則
❶ 富の分布にある不均衡
❷ 在庫管理への活用方法
❸ 品質管理活動への活用
第6章 在庫を計上する業務プロセス
1 金額情報としての在庫の計上
❶ 決算書における在庫の記載
❷ 在庫を計上する業務プロセスの概要
2 理論値算定におけるリスク・フォーカス
❶ 理論値算定の業務フローを理解する
❷ 帳簿上の在庫金額の算定方法
❸ 理論値算定における情報の転換点をみつける ……ほか
3 実地棚卸におけるリスク・フォーカス
❶ 実地棚卸には2つの目的がある
❷ 「誰が」「どこで」「何を」棚卸しするのか
❸ 実地棚卸の2つの「いつ」 ……ほか
4 在庫に関連する損失の取扱い方
❶ 5種類の在庫関連損失
❷ 決算書における在庫関連損失の記載
❸ 実際有高にもとづき帳簿有高をマイナス処理する ……ほか
第7章 在庫に関連する予算
1 適正な在庫量の水準とは
❶ 在庫量の適正水準は在庫の定義にある
❷ 余裕在庫は持つべきか,持たざるべきか
❸ 将来の売上高の見込み方 ……ほか
2 予算編成のしかた
❶ 予算は2つの方式を組み合わせて編成する
❷ 予算編成にあたって最初に作成すべき予算とは
❸ 製造原価予算は何に応じて調整すべきか ……ほか
3 予算統制のしかた
❶ 増減率に着目する手法
❷ 増減金額に着目する手法
❸ 前年同期比較にあたっての留意点 ……ほか
第8章 在庫管理を実践する
1 エラーの防止・発見に必要な手続
❶ 業務プロセスに組み込むべき手続
❷ 確認手続の2つの手法
2 手作業による確認手続で注意すべき事項
❶ 確認手続を実施する2つの時点
❷ 情報の転換点で実施する場合
❸ 情報の転換点よりも後に実施する場合
3 自動化された確認手続で注意すべき事項
❶ 情報空間における見逃せない弱点とは
❷ 情報の弱点を防止する稼働環境を確保する
❸ 情報の弱点を防止する入力環境を確保する
参考文献
著者プロフィール
竹村 純也(たけむら じゅんや)
仰星監査法人 社員 公認会計士
平成9年公認会計士登録。
大手監査法人も経て,平成19年に仰星監査法人に入所。
IPO(株式上場)支援業務を通じて経営管理体制や業務管理体制,
会計処理・財務報告に関するアドバイスを提供している。
また,上場企業に対する会計監査や内部統制監査も実施している。
製造業や小売業,建設業など様々な業種の監査経験がある。
簿記の入門から会計基準の実務的な解説,管理会計などに関する研修会やセミナーの講師も多数の実績がある。
単著
『内部統制のしくみはこうつくる』
『道具としての会計入門 これならわかる会計監査』(いずれも日本実業出版社),
『会計が世界一シンプルにつかめる本』(明日香出版
社)がある。
- 担当編集者コメント
- ◆社内のいろんな部署の方に「在庫管理」の考え方を聞いてみてください。きっと,いろんな答えが返ってくると思います。それもそのはず,「在庫」という用語は,関与の仕方によって様々な解釈ができるからです。
◆在庫管理を行うためには,関連部署のメンバーが在庫の認識を同じくし,同じ問題意識で取り組むことが欠かせません。その際,決算書から在庫の現品に遡るアプローチを学ぶことは,全社的視点が得られるだけでなく,数字で在庫の情報をしっかり管理していく上で礎となります。
◆一般に,在庫管理といえば,発注方式,補充量決定といった購買業務のみが対象とされ,生産管理や物流に強いコンサルタントが解説した書籍ばかりです。しかし,在庫は社内の各部署を通して連鎖しているため,購買部門に限定しない全社的な視点が必要です。そこで本書は,在庫の管理にも詳しい会計専門家が解説しています。