「地域の価値」とは何か―理論・事例・政策

除本 理史 編著
立見 淳哉 編著

定価(紙 版):2,640円(税込)

発行日:2024/11/28
A5判 / 200頁
ISBN:978-4-502-52091-4

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本の紹介
「地域の価値」とは、自然や景観、伝統、文化、コミュニティなど地域固有の要素である。これを再評価することが地域づくりの要となる。

目次

第Ⅰ部 現代資本主義と「地域の価値」
第1章 「地域の価値」が今なぜ注目されるのか―現代資本主義における価値生産の変容を踏まえて

1 現代資本主義の変化と特質
2 現代資本主義の暴力性とそれに対する批判
3 「地域の価値」とは何か

第2章 商品の価値づけをめぐる論点―慣行と配置にもとづく規制,および利潤のレント化
1 現代の資本主義と価値の多元性
2 価値から価値づけへ
3 質の慣行
4 質的規定と価値づけの権力
5 社会的-技術的配置と計算
6 利潤のレント化
7 おわりに

第3章 「地域の価値」を構成する要素としてのオーセンティシティとその解釈
1 「オーセンティシティ」とは何か
2 オーセンティシティ論の拡がり
3 「地域の価値」としてのオーセンティシティに関する論点
4 都市空間のオーセンティシティと「地域の価値」
5 「地域の価値」を構成する要素としてのオーセンティシティ

第4章 生産から消費・文化への変容にみる「地域の価値」
1 生産から消費・文化へ
2 『柔らかい個人主義の誕生』にみる消費社会
3 京都・西陣にみる産業・生活・文化の変容
4 生活的景観の価値

第Ⅱ部 「地域の価値」をどうつくるか
第5章 地域の木の価値づけを通した家具産地社会の再構成

1 はじめに
2 家具産地における地域の木の再配置
3 家具産地・静岡における地域の木の活用の取り組み
4 地場産業産地の形成に向けた社会的仕掛けとしての地域の木の価値づけ
5 おわりに―産地社会の形成に向けて

第6章 地域の持続的発展と真正性の装置としての映画館―「日田シネマテーク・リベルテ」(大分県日田市)を事例として
1 はじめに
2 なぜ,まちの書店や映画館なのか―真正性の装置としての3つの機能
3 真正性の装置と「感情的なつながり」のコミュニティ
4 おわりに

第7章 地域の人びとと関わり合う―フリーランスの共同体の一生と遺産
1 はじめに
2 分析のための概念
3 観察にいたるまでの経緯
4 境界領域の形成
5 運営者たちの衝突と解決
6 ながぼ荘の青春,その後

第8章 公害地域の価値をつくる―熊本県水俣市および岡山県倉敷市水島地区の事例から
1 公害経験の継承を通じた地域再生
2 水俣病の学びが「地域の価値」をつくる
3 水島における公害経験の継承と協働のまちづくり

第Ⅲ部 「地域の価値」の政策論
第9章 「地域の価値」の地域政策論

1 はじめに―本章の課題
2 「地域の価値」の経済システム
3 オーセンティシティと地域的制度
4 現代の内発的発展と地域的制度

第10章 現代地域発展論―社会連帯経済から「地域の価値」へ
1 本章の課題
2 資本主義の発展と地域―「資本主義の精神」の視点から
3 新しい地域発展理論―連帯経済
4 連帯経済の実例―フランスにおける政策形成
5 連帯経済から「地域の価値」へ

著者紹介

除本 理史(よけもと まさふみ)
[プロフィール]
大阪公立大学大学院経営学研究科 教授

[主な著作]
Environmental Pollution and Community Rebuilding in Modern Japan(共編,Springer,2023年)
『公害の経験を未来につなぐ―教育・フォーラム・アーカイブズを通した公害資料館の挑戦』(共編,ナカニシヤ出版,2023年)
『「地域の価値」をつくる―倉敷・水島の公害から環境再生へ』(共編著,東信堂,2022年)
『きみのまちに未来はあるか?―「根っこ」から地域をつくる』(共著,岩波ジュニア新書,2020年)
『公害から福島を考える―地域の再生をめざして』(岩波書店,2016年)

立見 淳哉(たてみ じゅんや)
[プロフィール]
大阪公立大学大学院経営学研究科 教授

[主な著作]
『新しい地域をつくる―持続的農村発展論』(分担執筆,岩波書店,2022年)
『社会連帯経済と都市―フランス・リールの挑戦』(共編,ナカニシヤ出版,2021年)
『田園回帰がひらく新しい都市農山村関係―現場から理論まで』(分担執筆,ナカニシヤ出版,2021年)
『産業集積と制度の地理学―経済調整と価値づけの装置を考える』(ナカニシヤ出版,2019年)
『認知資本主義―21世紀のポリティカル・エコノミー』(分担執筆,ナカニシヤ出版,2016年)