- 本の紹介
- 農林水産業の持続的発展のためには、経済学的な視点が不可欠であることを解説すると同時に、農業・漁業・林業で起きている諸問題を包括的に1冊にまとめたわが国初の書。
目次
農林水産の経済学
目次
まえがき
第I部 農業政策を経済学的に理解する
第1章 政策分析のためのミクロ経済学の基礎
1 はじめに
2 市場と均衡
3 市場の失敗と農業政策
4 おわりに
第II部 農業の経済分析
第2章 農業直接支払い
1 はじめに
2 農業政策における直接支払いの位置づけ
3 直接支払いの理論的背景―貿易とピグー補助金の影響
4 市場歪曲的ではない政策的介入を求めて―デカップリングの議論
5 「レファレンスレベル」の設定と「クロスコンプライアンス」
……ほか
第3章 農業の生産性分析
1 世界や日本の食糧事情から見た農業生産性の重要性
2 農業の生産性の重要性と生産性の測定
3 農業生産性への影響を考えるうえで重要となる側面
4 おわりに
第4章 農産物流通の機能と担い手
1 はじめに
2 流通の意味と機能
3 流通の担い手
4 おわりに
第5章 日本のコメおよび青果物市場の流通
1 はじめに
2 コメ市場の流通
3 青果物市場の流通
4 おわりに
第6章 農地管理と担い手
1 はじめに
2 農業者数と経営規模の変化
3 水稲作を例とした規模拡大の経済的メリット
4 日本における農地所有形態の特徴と取引形態
5 農地管理をめぐる非経済的側面 ……ほか
第III部 漁業の経済分析
第7章 水産資源管理の基礎
1 はじめに
2 漁業の構造的欠陥
3 水産経済学の基礎
4 漁業管理政策
5 おわりに
第8章 利用権の設定―区画利用権漁業(TURF)と譲渡可能な
漁獲割当(ITQ)
1 はじめに
2 利用権の設定と区画利用権漁業
3 市場メカニズムと漁業管理
4 おわりに
第9章 エコラベルによる持続可能な漁業―MSC認証を例として
1 はじめに
2 海洋管理協議会認証
3 おわりに
第10章 マグロの国際政治学
1 日本の議論で欠落しているマグロ問題の視角
2 マグロの国際管理
3 制度間相互連関
4 環境NGO
5 おわりに
第IV部 林業の経済分析
第11章 森林資源経済学の基礎
1 はじめに
2 森林資源の有する特質
3 林業分析の理論的な枠組み
4 現代における課題と市場メカニズムを用いた解決方法
5 おわりに
第12章 林業と貿易
1 木材および加工品の種類
2 世界の木材生産と輸出入
3 日本の状況
4 貿易自由化が森林に及ぼす影響
5 林業と貿易の未来
第13章 森林資源のための経済理論
1 森林資源の特性
2 森林所有者の意思決定問題―ファウストマン式とその性質
3 社会的最適森林政策1―ファウストマン式の拡張
4 社会的最適森林政策2―地域全体の森林管理
5 不確実性と不可逆性 ……ほか
第V部 食品経済の実証分析
第14章 消費者の食品選択行動
1 農林水産業と食品廃棄物
2 データ
3 因子分析
4 コンジョイント分析
5 おわりに
あとがき
索引
著者プロフィール
■編者紹介
馬奈木俊介(まなぎしゅんすけ)
九州大学大学院工学研究院都市システム工学講座教授
九州大学工学部飛び級。九州大学大学院工学研究科修士課程修了。ロードアイランド大学大学院博士課程修了(Ph.D.(経済学博士))。
サウスカロライナ州立大学講師,東京農工大学助教授,横浜国立大学准教授,東北大学大学院准教授などを経て,現職。
東京大学公共政策大学院客員教授,経済産業研究所ファカルティフェロー,地球環境戦略研究機関フェローを兼任。
学術誌「Environmental Economics and Policy Studies」共同編集長,「Resource and Energy
Economics」副編集長,「Ecosystem Health and Sustainability」副編集長,IPCC 代表執筆者。環境経済・政策学会学術賞,環境科学会奨励賞,日本計画行政学会奨励賞を受賞。
主な著作:
Managi, S. (Eds.) (2015). “The Routledge Handbook of Environmental
Economics in Asia,” Routledge, New York.
馬奈木俊介・林良造(編著)『日本の将来を変えるグリーン・イノベーション』中央経済社,2012年,馬奈木俊介(編著)『エネルギー経済学』中央経済社,2014年。