- 本の紹介
- 世界的な財政悪化を受けて大きく発展した政府・非営利組織の会計を、基礎概念・監査・情報利用の観点と組織別の観点の二つの軸から論考する。
目次
体系現代会計学[第9巻]
政府と非営利組織の会計
目次
序章 新たな会計研究領域の誕生
第1節 政府と非営利組織の会計研究の重要性の増大
第2節 明治期の政府会計にみられた複式簿記
第3節 財政の健全化と政府会計
第4節 非営利組織の会計における改革
第Ⅰ部 政府会計と非営利組織会計の基礎概念
第1章 政府会計の基盤
第1節 政府会計の目的
第2節 予算と決算・会計の関係
第3節 現金主義と発生主義
第4節 会計区分
第5節 会計情報の利用者と質的属性
第6節今後の課題
第2章 政府会計の基礎概念
第1節 政府会計が取り組むべき課題と基礎概念
―政府会計の機能は企業会計とどう異なるか
第2節 政府会計の目的に係る基礎概念
第3節 政府会計を変革する基礎概念―発生主義概念
第4節 政府会計の基礎概念をめぐる今後の課題
第3章 非営利組織会計の基礎概念
第1節 非営利組織会計の基礎概念研究の歴史的経緯
第2節 非営利組織の類型
第3節 非営利組織会計の目的
第4節 非営利組織会計の概念フレームワークの基礎
―アンソニー報告書
第5節 FASB 概念フレームワーク
第6節 非営利組織の業績情報
第4章 公会計情報の信頼性
第1節 パブリックアカウンタビリティの解除と公監査
第2節 公監査制度構築の要件
第3節 公監査目的の体系
第4節 公監査基準の体系と展開
第5節 公監査基準の構成内容
第6節 公監査へのわが国の対応
第5章 地方自治体における公会計情報の活用とニュー・
パブリック・マネジメント
第1節 ニュー・パブリック・マネジメントの登場
第2節 日本型NPM とPDS サイクル
第3節事務事業評価の基礎概念
第4節 公会計情報の活用と新地方公会計制度改革への対応
第5節 NPM からみた公会計改革の目指すべき方向性
第6章 公共性・効率性と会計システム
―道路公団民営化における会計基準の設計
第1節 はじめに
第2節 道路公団とは何であったのか
第3節 民営化の基本的な枠組み
第4節 道路資産評価・会計基準検討委員会の検討課題と
会計処理方法の内容
第5節 論点の検討
第6節 おわりに―公共性・効率性と会計システム
第Ⅱ部 政府会計と非営利組織会計の現状と課題
第7章 財政の悪化を顕在化させる政府会計
第1節 政府会計の現状と改革の動き
第2節 省庁別財務書類にかかる会計基準と会計処理
第3節諸外国の政府会計―わが国政府会計との比較
第4節政府会計情報の監査―会計検査院の検査
第8章 情報開示が進む地方公共団体の会計
第1節 地方公共団体における財務会計の意義・特徴
第2節 地方公共団体の財政をめぐる動きと財務会計改革
第3節 地方公共団体における会計情報の監査と
ディスクロージャー
第4節 地方公共団体に関する財務書類を用いた分析
第5節 地方公会計制度の展開
第6節 地方公共団体における財務会計の課題と展望
第9章 効率的運営が求められる独立行政法人の会計
第1節 独立行政法人設立の経緯と特徴
第2節 独立行政法人会計基準
第3節 独立行政法人固有の会計処理
第4節 独立行政法人の監査
第5節 独立行政法人会計情報の管理的活用
第6節 独立行政法人会計の課題と展望
第10章 公益法人会計における基準形成と基礎概念
第1節 はじめに
第2節 公益法人会計基準の整備の歴史(その1)
第3節 公益法人会計基準の整備の歴史(その2)
第4節公益法人会計基準の整備の歴史(その3)
第5節 公益法人会計基準にみる非営利法人会計の基礎概念
第6節 おわりに
第11章 比較可能性が求められる学校法人会計
第1節 「学校法人会計基準」の成立およびその計算書類体系
第2節 資金収支計算書と二つの目的観
第3節 消費収支計算書と消費収支概念
第4節 基本金
第5節 監査とディスクロージャー
第6節 財務分析のさまざまな比率
第7節 学校法人会計の課題と展望
第12章 改革が進む医療法人の会計
第1節 病院を運営するさまざまな主体・医療法人
第2節 病院会計準則・社会医療法人の会計基準と会計処理の
特徴
第3節 病院の会計情報のディスクロージャーと監査
第4節 病院における会計情報の管理的活用
第5節 病院会計の課題と展望
終章 公共会計学の展望
第1節 はじめに
第2節 公共社会とは何か
第3節 会計の三つのレベル
第4節 会計学のありよう―社会構成主義の観点
第5節 会計研究の方法の分類
第6節 効率性測定に資する会計
第7節 公共倫理の主張―公共哲学の代表的な所論
第8節 結語
著者プロフィール
<責任編集者>
大塚宗春
黒川行治
<総編集>
主幹 斎藤静樹
安藤英義
伊藤邦雄
大塚宗春
北村敬子
谷武幸
平松一夫
- 担当編集者コメント
- 税収の低迷や社会保障費の急増、インフラの劣化などで日本では政府の財政的柔軟性が失われています。これは私たちが解決しなくてはならない大きな課題です。
- 著者から
- 近年における政府と非営利組織の会計の発展には目覚しいものがある。世界的に見て大きな政府による深刻な財政悪化を契機として行政改革が進められているが、その前提となる財政の実態を適切に把握できているのかといった根本的な問題が問われている。
このような状況の下で、体系現代会計学シリーズのひとつの巻として「政府と非営利組織の会計」の刊行が計画されたことは、時代の要請にこたえたきわめて時宜に適したものであるといえよう。