- 本の紹介
- 企業が行う事業投資やM&Aは、将来の利益やキャッシュフローに直結し企業価値に決定的な影響を与える。株主価値創造の観点から有形・無形の事業資産に行う投資意思決定の原理と新しい知見。
目次
現代の財務経営?
価値向上のための投資意思決定
目次
第1章 投資決定と株主価値創造
1 経営財務職能とは
2 投資決定の目的としての株式価値最大化
3 経営者の意思決定の基準としての正味現在価値
4 貨幣の時間価値と割引キャッシュフロー法
5 割引キャッシュフロー法におけるリスクの処理
(1) 安全な投資プロジェクトの評価
(2) リスクのある投資プロジェクトの評価
6 株式価値最大化目標と効率的市場仮説
7 投資決定へのリアル・オプション法
第2章 リスクとリターン
1 リスクとリターンについて
(1) ゲームに見るリスクとリターン
(2) 株式資産と無リスク資産
2 ポートフォリオ理論
(1) 標準偏差(ばらつき度合い)はリスクではない
(2) 2銘柄の分散投資
(3) 複数の危険資産の組み合わせ ……ほか
3 資本資産評価モデル(CAPM)
(1) リスク指標としてのベータ(β)
(2) CAPMの意味
(3) CAPMの検証
4 3ファクターモデルと裁定価格理論(APT)
(1) 3ファクターモデル
(2) 裁定価格理論(APT)
5 効率的市場仮説
第3章 企業価値評価
1 資金の流れと実物投資
2 企業価値と投資決定
3 DCF法と現在価値
(1) DCF法の考え方
(2) リスクと割引率
(3) DCF法の公式
4 企業活動のリスクとリターン
(1) 企業と投資プロジェクトのリスクとリターン
(2) 株価に反映される企業活動のリスク
(3) CAPMと株式の資本コスト ……ほか
5 DCF法による企業価値評価
(1) 企業価値について
(2) 投資家にとっての企業価値
(3) 企業価値評価におけるフリーキャッシュフロー ……ほか
6 企業価値評価の数値例
(1) WACCの推定
(2) 期待FCFの現在価値
(3) 継続価値と企業価値評価
7 企業価値評価におけるEBITDA倍率
8 実物投資と企業価値評価
(1) 実物投資が企業価値に与える影響
(2) スタンド・アローンの原則
(3) 経営分析と投資プロジェクトの評価
第4章 株式価値の評価
1 配当割引モデル
2 残余利益モデル
3 配当割引モデルと残余利益モデルの計算例
4 配当割引モデルと残余利益モデルの実践
5 株主資本・自己資本・純資産
6 会計方針と残余利益モデル
7 将来期間の予測
8 財務諸表分析と残余利益モデル
9 株価乗数モデル
10 株価乗数モデルの実践
11 会計方針と投資判断
第5章 実物投資決定の理論と事例
1 伝統的な資本予算決定
(1) 会計利益率法
(2) 回収期間法
2 割引キャッシュフロー法(DCF法)
(1) DCF法におけるフリー・キャッシュフロー
(2) 正味現在価値法(NPV法)
(3) 内部収益率法(IRR法) ……ほか
3 投資プロジェクトの評価に関するまとめ
4 投資プロジェクトの資本コストの計測
5 資本予算決定の仮想事例(ケーススタディ)
(1) 投資計画
(2) 資本コスト(WACC)
(3) 会計利益率法 ……ほか
6 投資の資本予算決定の理論と実際
第6章 投資決定としてのM&A
1 M&Aの基本
(1) 事業関連性に基づく分類
(2) 買収対価の支払方法による分類
(3) 友好的買収,敵対的買収と買収防衛策 ……ほか
2 M&Aの会計
3 M&Aによる価値創造
(1) 規模の経済
(2) 範囲の経済
(3) 取引コスト低減 ……ほか
4 M&Aにおける企業価値の評価
(1) 市場株価方式
(2) 時価純資産方式
(3) 収益方式
5 M&Aと株式市場の反応
6 M&Aの実際(ケース・スタディー)
(1) 水平型M&Aの事例:川崎製鉄+NKK→JFEホールディングス
(2) 敵対的TOBの事例:スティールによるユシロ化学,
ソトーへのTOB提案
第7章 リアル・オプションによる投資決定
1 リアル・オプションとは
2 リアル・オプションと金融オプション
3 リアル・オプションの種類
(1) 延期オプション
(2) 拡大・縮小オプション
(3) 一時閉鎖・再開オプション ……ほか
4 リアル・オプションによる投資評価
(1) リアル・オプション評価の基本原理
(2) リアル・オプションの解法プロセス
(3) M&A(Merger & Acquisition)の評価 ……ほか
5 リアル・オプション評価の事例
(1) 投資プロジェクトの戦略展開と事業計画
(2) 投資機会の認識
(3) 評価モデル ……ほか
第8章 株式市場のアノマリーと財務決定
1 なぜ市場のアノマリーが存在するか
2 裁定の限界
3 投資家の非合理的行動
(1) プロスペクト理論
(2) メンタルアカウンティング
(3) 応用例―気質効果 ……ほか
4 財務行動と市場のアノマリー
(1) 株式分割
(2) 新規株式公開
(3) 株式買戻し ……ほか
付 録 複利現価表・年金現価表
索 引
著者プロフィール
■編著者紹介
榊原 茂樹(さかきばら しげき)
1945年生まれ
神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了,経営学博士
〔現在〕
関西学院大学商学部教授,神戸大学名誉教授,日本経営財務研究学会会長,証券経済学会常務理事
〔主著〕
『現代財務理論』千倉書房,1986年。
“The Japanese Stock Market : Pricing Systems and Accounting Information”(共著),Praeger Publishers, New York, 1988.
『現代の財務管理』(共著)有斐閣,2003年。
『パーソナルファイナンス入門』(共編著)中央経済社,2006年。
『知的資産ファイナンスの探求』(共編著)中央経済社,2007年。
砂川 伸幸(いさがわ のぶゆき)
1966年生まれ
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了,博士(経営学)
〔現在〕
神戸大学大学院経営学研究科教授,日本ファイナンス学会理事,日本経営財務研究学会評議員
〔主著〕
『財務政策と企業価値』有斐閣,2000年。
『コーポーレート・ファイナンス入門』日経文庫,2004年。
『パーソナルファイナンス入門』(共編著)中央経済社,2006年。
“A theory of unwinding of cross-shareholding under managerial entrenchment” Journal of Financial Research 30,163-179(2007),JFR 2007 Outstanding Article Award.
『日本企業のコーポレートファイナンス』(共著)日本経済新聞社出版局,2008年。