- 本の紹介
- たんなる損失防止策に止まらず、重要な財務戦略として統合的に遂行すべきリスク管理の原理と方法、実際にどう適用されているかを国際経営、被買収リスク、金融投資などの種類ごとに詳述。
目次
現代の財務経営?
企業リスク管理の実践
目次
第1章 わが国企業におけるリスクマネジメントの進化と発展
1 企業の新成長戦略
2 リスクマネジメントの意味
3 日本人気質とリスク感覚
4 主要なリスクマネジメント手法
(1) 部門の損失防止策
(2) 規 制 ……ほか
5 新しいリスクマネジメント
(1) 信頼を勝ち取るマネジメント,BCP
(2) 流動化マネジメント(固定費用の比例費化)
6 ま と め
第2章 オペレーショナルリスクの管理高度化
1 はじめに
2 邦銀の伝統的な事務リスク,システムリスク,法務リスク
(1) 事務リスク
(2) システムリスク ……ほか
3 従来型のオペレーショナルリスク管理の問題点
(1) 将来起こりうる損失事象への対応が後手になる問題点
(2) 業務横断的にリスク管理を行う発想が欠如している問題点
……ほか
4 バーゼル?におけるオペレーショナルリスク高度化の考え方
(1) 規制の発展段階における信用リスク・市場リスクとの相違
(2) バーゼル?におけるオペレーショナルリスク高度化の考え方
……ほか
5 オペレーショナル・リスク管理高度化の概要と邦銀の取組み状況
(1) 取組み体制の整備
(2) 役割分担の明確化 ……ほか
6 おわりに
第3章 国際経営のリスク管理
1 国際経営のリスク
2 人・組織に関するリスクについて
(1) 海外法人の人的資源管理への主要影響要因
(2) 海外法人の人材構造から見た課題 ……ほか
3 国際経営の為替リスク
(1) 為替リスクの種類
(2) 為替リスク管理体制 ……ほか
4 国際経営の税リスク
(1) 経営課題としての移転価格リスク
(2) 移転価格税制とは ……ほか
5 移転価格税制の今後について
第4章 被買収リスクへの対抗
1 企業買収とリスク
2 被買収会社にとってのリスクとは何か
3 被買収会社側でとりうる対抗策
(1) 対抗策をとりうる場合とはどのような場合か
(2) 議決権割合と会社支配権等に与える影響等 ……ほか
4 企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策
に関する指針(経済産業省=法務省・平成17年5月27日)
(1) 買収防衛策に関する3原則
(2) 買収防衛策の導入に際しての買収防衛策指針への配慮
5 事前警告型買収防衛策
(1) 事前警告型買収防衛策とはどのようなものか
(2) 事前警告型買収防衛策の効果 ……ほか
6 信託型ライツプラン
7 被買収リスクの観点からみたコンプライアンスの重要性
(1) コンプライアンス重視の経営
(2) コンプライアンス体制の構築
第5章 企業年金のリスク管理
1 経営課題としての企業年金
2 経営から見た企業年金導入の目的
(1) 企業財務上のメリット
(2) 労務政策上のメリット ……ほか
3 企業年金運営の基本的な仕組み
(1) 企業年金の財政運営
(2) 企業会計上の取扱い ……ほか
4 企業年金運営におけるリスク
(1) 企業経営と企業年金のリスク
(2) 三つの分類
5 資産運用リスクへの取組み
(1) 政策アセットミックスの策定
(2) 実践ポートフォリオの策定 ……ほか
6 債務変動リスクへの取組み
(1) 退職給付債務の金利感応度
(2) キャッシュバランスプランの導入 ……ほか
7 年金ガバナンス体制の構築
(1) ガバナンスの必要性
(2) 組織の整備
8 能動的リスクコントロール
(1) 買収防衛の観点
(2) 資金効率性の観点 ……ほか
9 おわりに
第6章 大規模自然災害とエンタープライズ・リスクマネジメント
拡大する保険リンク証券市場
1 はじめに
2 企業経営と資本・リスクマネジメントの統合的アプローチ
3 企業におけるリスクマネジメント重視の背景とエンタープライズ・
リスクマネジメント
4 キャタストロフィック災害と経済損失・保険損失
5 キャタストロフィック災害のリスクと企業経営
6 キャタストロフィック災害リスクのヘッジ
7 キャタストロフィック・リスク:保有か外部移転か
8 自然大災害リスクの証券化
9 拡大する保険リンク証券市場
10 日本の地震リスクを対象にした証券化の例
11 トリガー手法の高度化
12 投資リスク分散化効果をもたらす保険リンク証券投資
第7章 リスクファイナンスの活用
1 リスクファイナンスの意義
(1) リスクファイナンスの対象
(2) 株主と債権者
2 リスクファイナンスの実際
(1) リスクの定量評価
(2) リスクファイナンスのための準備 ……ほか
3 積極的なリスクファイナンスの利用
第8章 不動産流動化(証券化)による所有と利用の分離
1 急速に拡大した不動産流動化市場
(1) 不動産の流動化(証券化)とは
(2) 不動産証券化市場の概況
2 土地神話とその崩壊による不動産所有リスクの認識
(1) 土地神話の時代
(2) 土地神話の崩壊とリスク認識 ……ほか
3 土地の所有と利用の分離
(1) 不動産の賃貸借による所有と利用の分離の背景
(2) 不動産の流動化による所有と利用の分離
4 不動産資産流動化の概況
(1) 不動産流動化の概況
(2) 不動産流動化の目的
5 不動産流動化の手法とそのメリット
(1) 実物不動産を投資家に売却する事例
(2) SIVを介在させる事例 ……ほか
6 資産流動化による新たな問題と今後の展望
(1) サブプライムローン問題の教訓
(2) 不動産の流動化の抱えるリスク ……ほか
第9章 金融投資のリスク管理の実践
1 先物によるリスク・ヘッジ
(1) はじめに
(2) 伝統的ヘッジング理論 ……ほか
2 オプションを使ったヘッジ:ポートフォリオ・インシュアランス
(1) はじめに
(2) PIの原理:市場オプションを利用するケース ……ほか
3 ファクター・モデルによる株式ポートフォリオのリスク管理
索 引
著者プロフィール
■編著者紹介
甲斐 良隆(かい よしたか)
1949年生まれ
京都大学大学院工学研究科(数理工学)修士課程修了,博士(商学)
帝人?,三菱信託銀行?統括マネジャー,神戸大学大学院経営学研究科助教授を歴任
〔現在〕
関西学院大学大学院経営戦略研究科教授,兵庫県資金管理委員会委員長,大阪府・大阪市信用保証協会外部委員
〔主著〕
『資産運用とリスクマネジメント』エコノミスト社,2002年。
『リスクファイナンス入門』(共著)きんざい,2004年。
「自然災害とリスク・シェアリング」Economy Society Policy,No 414,2006年。
「キャッシュリザーブを用いたモーゲージ担保証券優先劣後構造の最適設計」(共著)オペレーションズリサーチ学会誌,vol 49 No 4,2006年。
「事業リスクと災害リスク管理の統合効果」関西学院大学レビュー,vol 2,2007年。
榊原 茂樹(さかきばら しげき)
1945年生まれ
神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了,経営学博士
〔現在〕
関西学院大学商学部教授,神戸大学名誉教授,日本経営財務研究学会会長,証券経済学会常務理事
〔主著〕
『現代財務理論』千倉書房,1986年。
“The Japanese Stock Market : Pricing Systems and Accounting Information”(共著),Praeger Publishers, New York, 1988.
『現代の財務管理』(共著)有斐閣,2003年。
『パーソナルファイナンス入門』(共編著)中央経済社,2006年。
『知的資産ファイナンスの探求』(共編著)中央経済社,2007年。